「はやぶさ2」が、史上はじめて小惑星リュウグウから持ち帰った試料(砂)を、フランス宇宙天体物理学研究所(IAS)で開発された赤外分光顕微鏡マイクロオメガによって、非汚染かつ非破壊の分析が実施され、初期測定結果が公表された。論文の内容は、

リュウグウ全球規模にわたって、水酸塩(OH基)、有機物(CH基)、アンモニア(NH基)に富む物質が分布し、炭酸塩のような変成相も存在する多様性に富む物質であることがわかった。(中略)「はやぶさ2」帰還試料は実験室で入手できる最も始原的な試料の一つであり、太陽系の起源と進化の概念を再考させることになるであろう、唯一で貴重なコレクションである。

としている。

隕石研究をしている研究者にとって最も大きな課題は、地球の大気に突入した時や、氷河に何万年も閉じ込められていたことなどで起こる、形質の変化やダメージだそうです。「はやぶさ2」が採集した、リュウグウの砂はそういった形質の変化やダメージの点をほとんど考慮する必要がない「そのままの状態」を分析できる点が画期的な点です。

「はやぶさ2」が地球に帰還して12月でちょうど一年。帰還の際には多くの人たちが関心を寄せ、一大イベントとなったが、華やかなイベントが終わったあと「はやぶさ2」の事を忘れてしまった方も多いのではないでしょうか。

研究者にとっては「はやぶさ2の帰還」からが研究の本格スタートとなります。まさにこれから世界中の研究者によって、太陽系の起源にせまる多くの新発見が、発表されることでしょう。JAXAの12月6日の記者説明会でも、今後の成果(論文)に期待できるというコメントをされていたので、今後の成果を楽しみに待ちたいと思います。

世界中の研究者の方々の地道な研究の積み重ねによって、今があるということを感謝しつつ、みなさまどうぞよいお年をお迎えください。

 

関連情報
赤外分光顕微鏡マイクロオメガによるリュウグウ帰還試料の初期成分測定 - JAXA
 DOI: 10.1038/s41550-021-01549-z
リュウグウは水、有機物に富む始原的な小惑星だった ─ リュウグウ帰還試料の初期記載から分かったこと ─ - JAXA
 DOI:10.1038/s41550-021-01550-6
【録画】小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(21/12/6)ーJAXAー - Youtube