論文の構成要素-『コンクルージョン』~初級アカデミック英語講座~
■出典:学術英語アカデミー パケット道場~初級アカデミック英語講座~
◎前回 論文の構成要素-『本論』
学術著作物を執筆する際の書き方について数回にわたってご紹介しています。今回は「コンクルージョン」についてです。
論文の構成要素 – コンクルージョン
論文のコンクルージョンは本文の最後に位置し、論文をまとめる部分です。コンクルージョンは「Conclusion」という見出しの一つのセクションとするのが一般的ですが、「Discussion」と「Conclusion」、または「Summary」と「Discussion」、あるいは「Summary」と「Discussion」と「Conclusion」などといった複数のセクションに分割されることもあります。
論文のコンクルージョンは少なくとも以下の役割を果たします。
- 論文を要約し、結果を繰り返して述べます。
- 研究結果の重要性とそれが影響を及ぼす範囲を明らかにします。
- 研究の長所と短所を指摘します。
- 既存研究との関係を述べます。
- 今後の研究の可能性について議論を行います。
これらの項目の記載順は、一般に上の通りになりますが、「3」と「4」の順番が逆になることもあります。以下でそれぞれの役割についてより細かく説明します。
- <論文の要約、結果の記述> 要約は、それだけを読んでも研究の内容の要点を把握でき、研究の出発点から結果・結論を得るまでの論理の筋がよく分かるように書くべきです。また、結果を徹底的に説明し、具体的に当研究で何を得たかを明らかにします。
- <結果の重要性> 得られた結果が、当該分野および関連分野においてどのような意味を持つかを述べます。つまり、結果が、どのような問題を解決し、従来の知識にどのような知識を加えるか、また、今後どのような研究につながり、どのような新しい問題を提起するかを論じます。さらに、より大きな目標の観点からこの結果がどのような発展につながるかを説明します。
- <研究の長所短所> これまでのアプローチと比較して、当研究で使用されるアプローチがどの点で優れているか、どの点で劣っているかを述べます。特に、今までのアプローチが成功に至らなかったことに対し、今回のアプローチが成功につながる理由を説明します。さらに、研究で用いた仮定、近似、単純化などを明らかにし、それらが結果に及ぼした影響について論じます。
- <既存研究との関係> イントロダクションで述べた当研究の分野全体における位置付けを再記述します。また、研究の結果と従来の研究結果が互いに補足したり、裏付けたりすること、あるいは互いに食い違ったり、矛盾したりすることを指摘し、こうした関係の意味を論じます。
- <今後の研究> 研究で用いられたアプローチの改善、拡張など、また、研究の結果によって提起される新しい問題の研究についての可能性を議論します。最後に、今回の結果を踏まえて「大きな」目標の達成の見込みについて論じます。
・論文のコンクルージョンは本文の最後に位置し、論文をまとめる部分
・コンクルージョンは以下の役割を果たす
・論文の要約、結果の記述
・結果の重要性
・研究の長所短所
・既存研究との関係
・今後の研究
1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。
1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。
科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現
単行本: 688ページ
出版社: 京都大学学術出版会 (2004/09)
言語: 日本語
ISBN-10: 4876986290
ISBN-13: 978-4876986293
発売日: 2004/09
商品パッケージの寸法: 22 x 15.5 x 4.5 cm
- 論文の盗用・剽窃を避けるコツ-前編 - クローズアップ学術界
- 学会発表用ハンドアウトのつくり方 - 学術プレゼンテーションのイロハ
- 【第9回】 正しく情報が伝わるグラフ作成のコツ -カラーユニバーサルデザインで”魅”せるプレゼンテーション
- 【帝京大学医学部】長瀬 洋之 教授インタビュー - わが研究室の英語学習法
英語論文を書き上げ、いざジャーナルに投稿しても、文法ミスや拙い表現が残る原稿では査読に進めない可能性があります。なぜなら、言語面で完成度の低い論文は、学術的な厳密さにおいても懐疑的だと考える学術誌編集者が多いからです。
学術論文に特化した英文校正サービスを提供するエナゴでは、お客様の専門分野と合致した英語ネイティブが原稿を徹底チェック。言語面のミスから投稿規程の順守にいたるまで、細部にわたってプロの目で添削し、ブラッシュアップいたします。研究論文の投稿前にぜひ一度ご検討ください。