第2回 『研究目的』を書くときのポイント-研究者必読!科研費申請書をより良くするためのポイント
前回、『 【第1回】“研究目的(概要)”を書くときのポイント』に引き続き、今回は科研費申請書の「研究目的」項を書く際のポイント・注意点を、実際の記載例をまじえてご紹介します。
まず「①研究の学術的背景」に研究の背景をきちんと書く
「①研究の学術的背景」は3つのパートで書くとよい。目安とする分量は「②研究の学術的背景」で1ページ〜1ページと1/3くらいになるように書く。
- 第1パート(1ページ目の半分):
この研究の一般的な背景、国内外の研究者による研究の動向 - 第2パート(1ページ目の残り半分):
申請者がこの研究に関してこれまでに行ってきたことを書く。研究成果として、この研究に関しての論文発表や学会発表があれば記載してアピールすること→申請者がきちんと研究ができるのかどうかの保証・証明 - 第3パート(2ページ目の1/3くらい):
そしてなにが問題なのか?解明すべき課題は?問題点に関して、申請者が持っているテクニックやアイデアで、どのように解決できるのかを書く
研究の背景があってこそ、次の「②なにをどこまで明らかにするのか」(要するに研究目的)が生きてくる。まず「研究の背景」をしっかりと書くこと。
そして「②なにをどこまで明らかにするのか」に研究目的をわかりやすく書く
まず「研究目的(概要)」に書いた「研究目的」をもう一度書く。そしてこの研究目的を明らかにするための具体的な研究内容として、3つくらいの研究項目を書くとよい。年度ごとの研究内容を書いてもいい。これで十分。
(あまりよくない例)
この例では研究内容だけしか書いていない。具体的な研究の中身は書かれていても、最終的な研究の目的は?まずは、研究目的をはっきりと示すことだ。
(改良したもの)
最初の2行は「研究目的(概要)」から「研究目的」の部分を持ってきた。
「③当該分野における本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義」に、研究の特色・意義・どのようなことが明らかになるのか、なにがわかるのか、どのような応用ができるのかなどを書く
なぜよくないのか?
「③本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義」で、4つのことを箇条書きで書いているが、4つの特徴とも、普通すぎる。誰もが書くような内容で、申請者の個性、この申請書のオリジナルな点が出ていない。試しに「歯科」を「内科」に変えても違和感はない。
どのように改良すればよいか?
まずはこの研究の特色やオリジナルな点をしっかりと書くべき。どこがユニークな点なのか?申請者が考えたオリジナルな点なのか?そこをまずしっかりと書くべき。その結果として、①~④の展開が期待されるとするべきだ。
わかりやすくするための工夫として「本研究の学術的な特色」「独創的な点」「予想される結果と意義」と分けて書くとよい。あるいは「本研究の学術的な特色・独創的な点」と「予想される結果と意義」の2つに分けた方が内容次第では書きやすいかもしれない。
ひとかたまりに書いているので、読みにくく、わかりにくい。
(改良したもの)
いくつかの部分に分けて書くと、読みやすく、わかりやすくなる。
淡路島生まれ。1988年宮崎医科大学大学院博士課程修了(医学博士)。
日本学術振興会特別研究員を経て、1993年国立循環器病センター研究所生化学部室員、1995年より同室長。2001年より久留米大学分子生命科学研究所遺伝情報研究部門教授。
研究テーマは未知の生理活性ペプチドの探索と機能解明。グレリンを中心とした摂食・代謝調節の研究。趣味は山登り、クラシック音楽、読書、映画鑑賞など。山は槍ヶ岳が一番好き。「研究は山登りであり、研究者は山に登らなければならない」と、思いませんか?クラシック音楽はもっぱら聴くだけ。CD購入枚数は年間500枚以上で、最近は完全に飽和状態。活字中毒。出張で時間があれば映画館へ。
著書:「科研費獲得の方法とコツ」(羊土社)
科研費獲得の方法とコツ 改訂第4版〜実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略
単行本: 237ページ
出版社: 羊土社; 改訂第4版 (2015/8/13)
言語: 日本語
ISBN-10: 4758120595
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商品パッケージの寸法: 26 x 18.2 x 1.6 cm
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科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック
単行本: 327ページ
出版社: 羊土社
言語: 日本語
ISBN-10: 4758120692
ISBN-13: 978-4758120692
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研究者必読! 科研費申請書をより良くするためのポイント
- 【第1回】『 研究目的(概要)』 を書くときのポイント
- 【第2回】『 研究目的 』 を書くときのポイント
- 【第3回】『研究計画・方法(概要)』 を書くときのポイント
- 【第4回】『研究計画・方法』を書くときのポイント
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