キヤノン財団に聞いてみた!2つのプログラムに込められた想い|研究の現場で聞いてみた!助成団体紹介シリーズ
一般財団法人キヤノン財団 常務理事 事務局長 近藤 智様、研究助成部長 小野 武夫様、総務部長 森岡 浩美様
聞き手:株式会社ジー・サーチ データベース営業部 長谷川 均
インタビュー 2016年4月7日
助成プロガラムのねらいについて解説する近藤さん(右)と小野さん(キヤノン財団にて)
キヤノン財団の活動
--本日はよろしくお願いいたします。キヤノン財団様の活動についてご紹介ください。
近藤 智(一般財団法人キヤノン財団 常務理事 事務局長):キヤノン財団は「科学技術をはじめとする幅広い学術および文化の領域における研究、事業、教育等に対して助成・支援を行うことによって、学術および文化の振興発展を図り、もって広く国民生活の向上と人類社会の繁栄に貢献すること」を目的として2008年に設立されました。事業として研究助成を行っており「産業基盤の創生」と「理想の追求」の2つの助成プログラムがあります。2009年から募集を始めて以来、「産業基盤の創生」は89件、「理想の追求」は25件に助成を行いました。
独創的、先駆的、萌芽的な研究を重点的に支援する「産業基盤の創生」
--「産業基盤の創生」、「理想の追求」それぞれのねらいと対象分野を教えてください。
今年の募集要項を公開いたしましたが、「産業基盤の創生」は、日本の強い産業を更に強化する、あるいは新たな産業を興すことによって経済発展を促すような科学技術分野にあって、独創的、先駆的、萌芽的な研究を重点的に支援していきます。産業界にイノベーションを起こすことを期待しています。
独創的、先駆的、萌芽的な研究
特にライフサイエンスと情報技術に重点を置く
地方に位置する大学等の研究、中央に位置する大学等の研究で地域の活性化を目指す研究を支援
「産業基盤の創生」募集要項より抜粋
対象分野ですが、募集要項別表に各分野の細目を表記していますのでご覧ください。今年から新しくサービスサイエンスという項目を設けています。今回のように分野の変更はありますが、従来から応募しようと思っていた方が、急に対象外になってしまうということはありません。広げる方向で設定されています。また、研究体制についてもプロジェクト型、あるいは個人で行う研究といった特定もしていません。共同研究者と一緒にプロジェクト的なテーマになっていてもかまわない、ということです。
--選考基準と応募数はどのようなものでしょうか。
募集要項にこの解説も載せていますので、ぜひご覧いただきたいと思います。
選考にあたり下記項目が考慮されます。
・萌芽性、先駆性:新しい技術を生み出す可能性や新しい研究領域を提案している
・独創性:独自の解決方法を提案しており、ブレークスルーが期待できる
・貢献性:研究成果が学術への高い貢献や産業のイノベーションを起こすことが期待できる
※地域の活性化、地域イノベーションに貢献する研究開発課題も重要視する
・計画性:限られた期間と予算の下に目標の達成が可能な実施計画である
「産業基盤の創生」募集要項より抜粋
地域の活性化ですが、設立当初から重視しています。国の助成が回りにくいところに、民間の財団という立場で支援していきたいということが背景にあります。
応募数ですが、「産業基盤の創生」は、毎年400件前後で増えつつあります。