イ・セドル氏(九段)、人工知能に1勝~人工知能 vs 世界最強プロ棋士による囲碁対決(第4局)
全5局の予定で行われている、現在世界最強といわれるプロ棋士イ・セドル氏(九段)と、グーグルとグーグル傘下の人工知能(AI)開発ベンチャー「ディープマインド」が開発した囲碁のコンピュータソフト「アルファ碁(AlphaGo)」との囲碁対局の第4局が13日におこなわれ、イ・セドル氏(九段)が勝利し、1勝3敗とした。
大方の予想を裏切り、初戦をアルファ碁が勝利したニュースは世界で驚きをもって受け止められた。その後の第2、3局も、アルファ碁が連勝し5戦マッチの優勝をアルファ碁がストレートで決めてしまったことになる。
13日に行われた第4局、アルファ碁は、前対局と同様、時折プロ棋士解説者を驚かせる意表を突く手を打ちつつ形勢は互角のまま進み、開始からおよそ3時間後イ・セドル氏の78手あたりから形勢が傾きはじめ、イ・セドル氏が5時間にわたる激闘に勝利した。
囲碁の対局内容については、専門の記事・ブログにゆずるが、最強といわれるプロ棋士をここまで苦しめるまでにAIの能力を向上させたグーグル研究チームの成果は賞賛に値するだろう。
今回の対局は、某SF映画のロボット対人間の覇権を掛けた戦いのように受け止められている感も(多分に宣伝効果的に煽られている部分も)あるが、実際はまだまだ研究の途上だ。人間と同等の汎用的な能力と判断力を持つ汎用AIの実現からすれば、今回の「アルファ碁」は碁に特化したAIであり、その大きな目標に向けた第一歩でしかない。
オックスフォード大学理論神経科学及び人工知能センターのSimon Stringer氏は
ディープラーニングを応用したニューラルネットワークの多くもモデル化の際、人間が世界の意味づけを行う時に重要な役割を果たしていると考えられている、生物学に基づいた仕組みを取り入れていない。
また、
われわれの視覚経験は、画像内に特定種類の特徴が存在しているかどうかしか教えてくれないディープラーニングアーキテクチャよりもずっと優れている
そうした上で、同氏は、
まだ見ぬ汎用AIを実現するうえで、こういったアプローチが必要になると確信している。
われわれがイメージするSF的な驚異のAI誕生はもう少し先になりそうだ。とりあえず今は、人類滅亡の危機は考えずに15日に予定される最後の対局を楽しみにしたい。
■対局配信サイトはこちら https://www.youtube.com/channel/UCP7jMXSY2xbc3KCAE0MHQ-A
■日本語による解説はニコニコ動画でライブ解説しています
【世紀の対局を実況】囲碁 イ・セドル九段 vs アルファ碁
■AlphaGoに関する論文
・Mastering the game of Go with deep neural networks and tree search - nature
・doi:10.1038/nature16961
・人工知能、初めて囲碁プロ棋士に勝利 - 英科学誌ネイチャー - コラボリー/Beats!
・人工知能 vs 世界最強プロ棋士による囲碁対決、初戦は人工知能が勝利
・囲碁の欧州王者に勝利した「AlphaGo」に見るナローAIとグーグルのアプローチ - ZDNet Japan