研究の現場で聞いてみた! リバネス研究費を展開する株式会社リバネス 高橋代表取締役社長 – 後編
多様な外部研究資金を紹介することで助成側と研究者をつなぐ架け橋となり、もっと「コラボレーション」を生み出すためのこの企画「助成団体にも聞いてみた!」、株式会社リバネスの高橋代表取締役社長のインタビュー完結編です。
株式会社リバネス 高橋 修一郎(代表取締役社長COO)、南場 敬志さん
聞き手:株式会社ジー・サーチ新規事業開発室長 杉山 岳文
企業とのコラボレーションは成長の機会
杉山:IT業界ではハッカソン*をよくやるのですが、ハッカソンだとその場で思いついたアドリブ勝負みたいなところがあって。
高橋:そう、大喜利ですよね(笑)。
杉山:そうそう大喜利。研究者と企業のコラボという意味では研究申請書や研究計画書など、じっくり考えてきたアイデアに対して企業視点でこれはいい、これは面白い、ということでやった方が最終的にいいものが出来ると思うのです。
高橋:たぶんそれは、IT業界では研究者と産業側との距離感が近いという良い面があるのだと思います。例えば、情報系の専門性を持っていて博士とった後、「就職厳しい」という方、あんまり見ないですよ(笑)。データサイエンティストだけどどこも雇ってくれないという人、あんまり聞かないですよね。分野によって課題は違うと思います。
本来、ポスドクはテニュア研究者になるまでの修業期間で、存在自体は意義があります。しかし、学術分野によってポスドク期間の過ごし方や学ぶべきことなどが全く一緒というわけではないと思うのです。ひとつの制度や価値観でポスドクの期間を過ごすのではなくて、いろんな形の研究の進め方を体験できれば、その中で新しい気付きがあると思います。結果として就職する人もいるだろうし、あるいは、それをきっかけに次の研究予算をとって研究者として登っていく人もいればいいいし。
杉山:機会ですね。
高橋:そう機会です。リバネス研究費で研究者の「成長の機会」、「コラボレーションの機会」を一つでも多く作りたいのです。1億円を1人に配るだけだったら1つしかコラボレーション生まれないけど、1億円を50万円ずつに分けたら200個のコラボレーションが生まれる。200人が企業の担当者と直接ネットワークして、コミュニケーションを取りながら何かをする訳じゃないですか。そして機会を得て様々な気付きを持った研究者が増えた10年後を想像します。それは若手の研究者にとっても社会にとっても凄くポジティブなことだと思うのです。だから、僕は細かく小さい機会を大勢の人に提供する方がどう考えてもいいと思います。どう考えてもです。もちろん、これは僕の仮説ですけど、そういう機会を増やしていきたいな、と思っています。
杉山:採択した課題や研究者で印象深いものはありますか?
高橋:何でしょうね。各賞いろいろな思いで設置されているのでストーリーがあるのですが、やはりBuzzった**のは TENGA賞ですね。
採択者:
脇坂 崇平 (独)理化学研究所脳科学総合研究センター適応知性研究チーム 研究員
「SR技術を用いた主観的映像体験の感性評価」
中山 新一朗 東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 広域システム科学系 (特任研究員)
「高精度AIDS病態シミュレータの開発」
杉山:どうだったんですか?
高橋:理研と東大の研究者が採択されました。科研費は、性にまつわる技術開発テーマは採択されにくいと思います。だからこそ性とかタブーになるような分野の研究/テーマに対して、TENGAさんが助成してくれたというのは凄く嬉しいし、意義があると思います。