慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市、冨田勝所長)の荒川和晴准教授(環境情報学部)は、ポーランド・ヤギェウォ大学Łukasz Michalczyk准教授らと共同で、山形県鶴岡市内で新種のクマムシを発見し、「ショウナイチョウメイムシ」(ラテン名:Macrobiotus shonaicus)と命名した。この研究内容は、2018年2月28日午後2時(日本時間 3月1日午前4時)、米国科学専門誌「PLOS ONE」のオンライン版にて発表された。

クマムシとは体長1mm以下の緩歩動物(かんぽどうぶつ)で、超低温や放射線など極限環境耐性があり、現在知られる上では唯一真空で生き延びられる脅威の生物だ。
発表によると、

クマムシは 18 世紀に初めて発見され、現在世界中で約 1200 種が知られています。日本のクマムシ研究は古く、20 世紀初めから現在までに 167 種の存在が知られています。しかし、日本で見つかった新種はまだ 26 種と限定的です。このうち、9種が海生で 17 種が陸生です。

との事で日本での新種発見は非常に少ないという。
新種の判断については、

今回、荒川准教授らは山形県鶴岡市大塚町の市街地のコンクリートに生えた苔から、チョウメイムシ科(Macrobiotidae)に属するクマムシの新種を発見しました。チョウメイムシという科名は、1834年に世界で初めてクマムシの新種が記載された時に、これらの生物が乾眠によって何年も生きながらえることからつけられた名前です。今回発見したクマムシは、この 1834 年にドイツで発見されたMacrobiotus hufelandi に非常に良く似た形態をしていましたが、体表を覆うクチクラの層に存在する孔が極めて小さいことや、前方3対の足に見られる出っ張り、さらには卵の表面の繊維状の突起などの特徴が異なりました。さらに、DNA情報を解析することによって、ゲノムの18S rRNA及び28S rRNA、そしてミトコンドリアゲノムの COI 遺伝子の配列などが、本種が未記載の新種であることを示しました。

また、本種が庄内地方で初めて見つかったことから、荒川准教授らはこれを Macrobiotus shonaicus、和名:ショウナイチョウメイムシ と名付けた。

発表に際し荒川准教授は、

ショウナイチョウメイムシは私が以前住んでいた大塚町のアパートの駐車場で発見しました。あまりにも身近な場所での発見に私自身驚きましたが、庄内の豊かな生態系の良い例なのでしょう。庄内地方の名を冠したこのクマムシの研究が、世界中に広まっていくことを願っています。

としている。
今後の研究としては、ショウナイチョウメイムシの飼育系を開発し、ゲノムの解析などを進めているとの事。これまでクマムシの分子生物学的研究はヤマクマムシ科(Hypsibiidae)を対象にしたものがほとんどで、チョウメイムシ科の研究が進むとクマムシの極限環境耐性の理解が大きく進展することが期待される。