知らないと損をする学術英語の基礎

■出典:学術英語アカデミー パケット道場~初級アカデミック英語講座~

研究者にとって、国際舞台で自身の研究結果を発信するために英語は必要不可欠なツールのひとつ。しかし、ビジネス用の英語レッスンは巷にあふれていても、学術研究者向けの英語を教えてくれる場はほとんどないのが実情です。初めての英語論文の執筆や学会発表は、研究室の先輩や仲間の見よう見まねで乗り越えた……という方も多いのではないでしょうか。本コラムでは、初めて英語論文を書く方や学術英語の基礎をもう一度押さえたいという方のために、自らも物理研究者であり、長年京都大学で英語指導を行ってきたパケット先生が、研究者による研究者のための“使える”英語論文執筆の基礎知識をご紹介します。

◎前回『英語における句読点の基本 “ハイフン”(2)』はこちら

◎今回は、「ハイフン」の用法についての3回目です。特殊な用法と、これまでの基本的な用法のおさらいとして誤用の例も記載されています。是非ご参考ください。

その他の用法

ここまで述べてきたのはハイフンの主な用法です。それらに加えて特殊な用法がいくつかあり、以下にもっともよく見られる例を示します。

  1. 1つの文字と単語を組み合わせるため
    X-ray、U-turn、three-D
  2. 数字と単語、数字と文字を組み合わせるため
    2-fold、10-fold、100-fold(twofold、tenfold、hundredfoldと比較せよ)
    4-plex、3-D、1-dodecanol、2,3-diphosphoglycerate、pre-1920
  3. 曖昧さの回避のため
    great-grandmother
  4. 21〜99までの数字を文字によって表示するため
    sixty-eight(eighteen、six hundred、ten thousandなどとの違いに注意)
  5. 分数を表すため
    two-thirds, three-fourths

よく見られる誤り

ハイフンの用法に関する典型的な誤用例を以下に挙げます。

  1. [誤] We treat highly-complex structure.
    理由:副詞と形容詞は一般的にハイフンで結ばないから。
    修正法:ハイフンを削除する。
  2. [誤] They prove a very well-known theorem.
    理由:ハイフンを入れると「very」が「well-known」全体を修飾してしまうが、本来は「well」のみを修飾すべきであるから。
    修正法:ハイフンを削除する。
  3. [誤] This structure is two-dimensional.
    理由:ここで「two-dimensional」は名詞の前に位置していないから。
    修正法:ハイフンを削除する。
  4. [誤] This is a long term project.
    理由:「long term」が「project」の直前に位置しているから。
    修正法:ハイフンを加え「long-term」にする。

  5. [誤] These figures are up-to-date.
    理由:ここで「up-to-date」は名詞の前に位置していないから。
    修正法:ハイフンを削除する。
  6. [誤] The values drop-off rapidly just beyond the critical point.
    理由:ここで「up-to-date」は名詞の前に位置していないから。
    修正法:ハイフンを削除する。
  7. [誤] There is a sharp drop off just beyond the critical point.
    理由:句動詞から形成される名詞の場合はハイフンを含むから。
    修正法:ハイフンを加え「drop-off」にする。
◆今回のポイント
1)その他の特殊な用法
・文字と単語を組み合わせる場合(ex. X-ray)
・数字と文字を組み合わせる場合(ex. 4-plex)
・曖昧さの回避(ex. great-grandmother)
・ 21〜99までの数字を文字によって表示場合
・分数を表す場合(ex. two-thirds)
『英語で混同しやすい用語や表現 “intraとinter”』につづきます
Glenn Paquetteグレン・バケット(Glenn Paquette)
1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。
1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現
単行本: 688ページ
出版社: 京都大学学術出版会 (2004/09)
言語: 日本語
ISBN-10: 4876986290
ISBN-13: 978-4876986293
発売日: 2004/09
商品パッケージの寸法: 22 x 15.5 x 4.5 cm

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