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新しいことをはじめるのは楽しい事であるのと反面、不安を感じることでもあります。
ましては、研究留学といった、これまでの研究環境を捨て、新たな環境に飛び込むといった場合には、相当な勇気がいることは想像に難くありません。
「これからはグローバル化が必要だ」など大上段に言われても、研究は個々人のキャリアの問題であり、留学が重要そうではあっても、ピンとくる人は少ないのではないでしょうか。

一貫して「(当事者)留学研究者自身」の視点で書かれている本書

今回ご紹介する『研究留学のすゝめ(羊土社)』は、終始一貫して実際に留学をする「研究者の視点」で書かれています。いうなれば、留学してきたあるいは、留学中の先輩からの経験談を聞いているという感じが一番近いでしょうか。

それもそのはず、本書は「UJA(海外日本人研究者ネットワーク)」編集チーム、理系大学院留学を支援する「カガクシャ・ネット」の方々により、実験医学誌の連載「留学のすゝめ!」、UJAのWebサイトに寄せられた留学体験記が元となっています。本書は、現在留学をされている、あるいは留学した経験のある研究者の「生の声」が凝縮された一冊といえます。

研究留学をまだ考えていない方、ご家族にも是非手に取っていただきたい一冊

本書は、留学を決意する最初の動機の話から、留学中の生活、留学後のジョブハントまで、「研究留学」を意識したときに漠として考える疑問や不安についての情報が幅広くおさえられています。留学がバラ色ばかりではない、留学のデメリットについても実際の経験談を交え語られています。

ちょっと例にあげてご紹介すると、

  • 第1章では、「メリットとデメリットを知り目標を定める」として、先輩研究者へのアンケートから留学の動機にせまります。
  • 家族の事も重要です。第2章で伴侶やお子様など家族の課題についても留学体験記とあわせて参考にできる記載があります。
  • 第6章の「オファーを勝ち取る(2)では、面談の際には「目をあわせて、にっこり笑い、力強く握手…」といった細かなことまで、アドバイスされています。

このように本書は、トータルで「研究留学とはどういったもので、(自身に)どんな変化が起こるのか」をリアルにイメージできる良書です。
特にお薦めしたいのは、留学をまだ考えていない若手研究者の方です。読み物としても知識欲を満足させるに充分な内容になっていますので是非読んでいただければと思います。

お薦めする理由は、本書の留学経験者アンケートの項で「留学に対する反省点」として、「1位もっと準備すべきだった」、「3位もっと情報が必要だった」で、事前準備に悔いを残している方々の多い事がわかります。もし留学に意識が向いた時に本書を改めて読み直し、よりよい留学準備をしていただきたいと願っています。

また、ご家族の方も、研究留学とはどういったものなのかや、家族が抱えるであろう課題を事前に理解する上でもお薦めしたい一冊です。

新年を向かえるにあたり、新たな目標として「研究留学」を考えてみよう、ちょっと興味があるといった方、是非ご一読してみてはいかがでしょうか。


研究留学のすゝめ!

研究留学のすゝめ! ~渡航前の準備から留学後のキャリアまで
単行本: 302ページ
出版社: 羊土社
UJA(海外日本人研究者ネットワーク) (編集), カガクシャ・ネット (その他)
言語: 日本語
ISBN-10: 4758120749
ISBN-13: 978-4758120746
発売日: 2016/12/4
商品パッケージの寸法: 21.1 x 15 x 1.9 cm