知らないと損をする学術英語の基礎

■出典:学術英語アカデミー パケット道場~初級アカデミック英語講座~

研究者にとって、国際舞台で自身の研究結果を発信するために英語は必要不可欠なツールのひとつ。しかし、ビジネス用の英語レッスンは巷にあふれていても、学術研究者向けの英語を教えてくれる場はほとんどないのが実情です。初めての英語論文の執筆や学会発表は、研究室の先輩や仲間の見よう見まねで乗り越えた……という方も多いのではないでしょうか。本コラムでは、初めて英語論文を書く方や学術英語の基礎をもう一度押さえたいという方のために、自らも物理研究者であり、長年京都大学で英語指導を行ってきたパケット先生が、研究者による研究者のための“使える”英語論文執筆の基礎知識をご紹介します。

◎前回『英語で間違いやすい用語や表現 “abbreviate”』はこちら

◎英語、日本語の論文に関わらずアブストラクト(抄録)は、多くの人に論文を読んでもらう為に非常に大切な要素です。今回の記事で、改めてアブストラクトの書き方について考えていただくきっかけになれば幸いです。

“アブストラクト”を書く際のポイント

アブストラクトは、読者に論文の概要を簡潔に伝えながら論文そのものの宣伝の役割も果たします。
良いアブストラクトは、著者がその研究について最も伝えたいことを明確にかつインパクト強く提示し、読者の関心を引きつけながら論文の本文を読む上でのガイドとなります。そのためには簡潔性と正確性、双方の要素が必要とされます。アブストラクトでは、余分な情報を省き論文の核心だけを残して、研究成果の重要性を率直に述べるべきです。

アブストラクトには、研究目的、研究の背景、研究方法、論文の結果、その結果の重要性という5つの基本要素の簡潔な説明のみが含まれるべきであり、より詳しい情報は、本文中で述べられるべきです。アブストラクトしか読まずに論文を評価する人も多く存在しますので、その短い文章だけから研究の最も大切な部分が容易に理解できるように執筆する必要があります。

分量の具体的な目安として、アブストラクトが論文全体の分量の1割までという基準が一般的ですが、ジャーナルによって分量の制限がある場合もありますので、原稿を投稿する前によく調べることが必要です。また、アブストラクトの最初の250~300語のみを閲覧可能にしているオンライン・データベースも存在しますので、ご注意ください。

最後にアブストラクトを作成するうえで留意すべき点を挙げます。ウェブ検索のことです。論文の研究分野においてキーワードと思われる単語が4、5個ほどアブストラクトに含まれると、その分野の関連論文としてウェブ上で検索されやすくなります。

◆今回のポイント
1)アブストラクトには、以下5つの基本要素を簡潔な説明のみ含める
 ・研究目的、研究の背景、研究方法、論文の結果、その結果の重要性
2)アブストラクトの分量の目安
 ・論文全体の1割までが一般的。ただし、ジャーナルによって規定が違うので投稿時に注意が必要
3)データ化、Web化が進む現状を考慮する
 ・アブストラクトの最初の250~300語のみを閲覧可能にしているオンライン・データベースも存在するので注意が必要
 ・論文の研究分野においてキーワードと思われる単語が4、5個ほどアブストラクトに含まれると、その分野の関連論文としてウェブ上で検索されやすくなる
『間違いやすい用語や表現 “overview”』につづきます
Glenn Paquetteグレン・バケット(Glenn Paquette)
1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。
1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから

科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現
単行本: 688ページ
出版社: 京都大学学術出版会 (2004/09)
言語: 日本語
ISBN-10: 4876986290
ISBN-13: 978-4876986293
発売日: 2004/09
商品パッケージの寸法: 22 x 15.5 x 4.5 cm

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