知らないと損をする学術英語の基礎

■出典:学術英語アカデミー パケット道場~初級アカデミック英語講座~

研究者にとって、国際舞台で自身の研究結果を発信するために英語は必要不可欠なツールのひとつ。しかし、ビジネス用の英語レッスンは巷にあふれていても、学術研究者向けの英語を教えてくれる場はほとんどないのが実情です。初めての英語論文の執筆や学会発表は、研究室の先輩や仲間の見よう見まねで乗り越えた……という方も多いのではないでしょうか。本コラムでは、初めて英語論文を書く方や学術英語の基礎をもう一度押さえたいという方のために、自らも物理研究者であり、長年京都大学で英語指導を行ってきたパケット先生が、研究者による研究者のための“使える”英語論文執筆の基礎知識をご紹介します。

◎前回『英語で間違いやすい用語や表現“文字”の英訳』はこちら

◎かなり初期の学校教育で習う単語“can”。皆さんは“can”の否定形について、“cannot”と“can not”どちらで習ったでしょうか。あまりに過去の事なので自分は思い出せません。“can’t”だったかもしれません。ためしにWebで調べてみたところ、用法について同じように悩まれている方が多いようで、かなりの件数がヒットしました。今回はその“cannotとcan not “の用法についてご紹介していきます。

cannotとcan not

「can」の否定形に「cannot」という表現がありますが、「can not」というように2語に分けて表記することも可能です。しかしどちらを用いるべきかという話になれば前者の方が一般的です。「can not」は、「not」が示す「否定」の意味を特別に強調しますので、このような強調が望ましくなければ「can not」は不適切です。この強い否定の形「can not」が望ましいケースが2つあります。

ひとつは、「can not」を含む文によって表される内容が特別に重要な場合で、もうひとつは「not」に示される否定が読者の期待に反するという場合です。こういったケース以外には1語の「cannot」を用いるべきです。

以下に「can not」の典型的な正しい用例を示します。

  1. Francis et al. claimed that these tui bules dilate sufficiently to allow a flow rate of 3 cm3/s, but our experiments clearly demonstrate that they can not. In fact, we have found that even under extreme conditions, the maximum flow rate is less than 1 cm3/s.
  2. The main finding of this study is that for α>αc, when computing the velocity, we can not ignore the nonlinear coupling of modes.
◆今回のポイント
1)「can」の否定形は特に意図的な何かがなければ「cannot」が一般的
2)特に強く否定を強調したい場合は「can not」を用いる
※その他:余談ですが、本文では触れていませんがわたくしが導入で触れている「can’t」についてです。「can’t」は短縮形なのでinformalになるようです。執筆や登壇でのプレゼンという場合はformalな「cannot」を使うのが無難なようです。
『英語における句読点の基本 “セミコロン”』につづきます
Glenn Paquetteグレン・バケット(Glenn Paquette)
1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。
1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから

科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現
単行本: 688ページ
出版社: 京都大学学術出版会 (2004/09)
言語: 日本語
ISBN-10: 4876986290
ISBN-13: 978-4876986293
発売日: 2004/09
商品パッケージの寸法: 22 x 15.5 x 4.5 cm

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