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ご好評いただいているBeats!オリジナルコンテンツ『最新データで読み解く!科研費申請の傾向と対策』に続く第二弾『研究者必読!科研費申請書をより良くするためのポイント』は、前回に引き続き『科研費獲得の方法とコツ』(羊土社)の著者である児島将康氏により、科研費申請書の書き方のポイントを記入項目ごとに実例をあげて詳しく伝授!特に科研費申請書を初めて書く方、若手研究者の方に是非読んでいただきたいコラムです。

 科研費採択の内定発表は毎年4月1日のエープリル・フールの日だ。冗談ぬきに、採択・不採択にまつわるウソが全国各地を飛び交い、研究者にとって悲喜こもごもの一日になる。採択されたものにはハッピーな一日だろうし、採択されなかったものにとってはがっかりな一日になる。不採択のショックからはなかなか立ち直れないが、あっという間に、9月1日になって、次年度の科研費応募が始まる。
 私はこれまでに「科研費獲得の方法とコツ」という本を書き、これがもとで全国各地のいろんな大学や研究所でセミナーを行うチャンスをいただいた。そしていろんな分野の方々の申請書をチェックして、書き直す手助けをしてきた。そういった経験から、採択されるための書き方のポイント、どのように改良していけばいいのか、など多くのことを学んできた。
 ここではここ数年の科研費セミナーでの経験を基に、申請書について各項目ごと(科研費申請書のもっとも重要な部分、「研究目的」と「研究計画・方法」に絞って書く)のポイントを書いていこう。

まず、研究目的(概要)は一番最後に書くこと!

「一番最初の部分なのに、なぜ最後?」と思われるかもしれない。しかしよく考えて欲しい。「研究目的(概要)」は申請書全体のまとめ、サマリーである。研究の背景、なにを解明するのか、どのような意図でその研究を行うのか、その意義は、などを書く部分だ。申請書全体のまとめであるべき部分だから、ここだけが本文と独立したものではありえない。論文を書くときに、サマリーから書く人はまずいない(いないことはない?)。論文のサマリーは最後に書くことだろう。だから、申請書においてもこの「研究目的(概要)」は全体が出来上がってから、全体のまとめとして最後に書くべき部分だ。
 ところが科研費セミナーなどで聞いてみると、意外や意外、「研究目的(概要)」を最初に書くと言う人が半数くらいいる。「研究目的(概要)」の中身がよくないことは多いが、この部分を最初に書くことが、あまりよくない概要になってしまう理由の一つだと思う。

 研究目的(概要)は計画書全体のサマリー。計画書の最初に置かれているが、他の部分を書き上げたあとに、一番最後に書くことをお勧めする。

そして、研究目的(概要)に3つの項目(①背景、②目的、③展開)を必ず書く

 研究目的(概要)に書くべきことは3つ。

  1. 研究の背景  (3〜4行)
  2. 研究の目的  (2〜3行くらい)
  3. 研究の展開  (2行くらい)

 なぜこの3つなのか?それは「まず、研究目的(概要)は一番最後に書くこと!」項で書いたように、研究目的(概要)は全体のまとめであり、本文と対応して書くべき部分だからだ。そして研究目的の本文は3つの部分(①研究の背景、②研究の目的(研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか)、③研究の展開(当該分野における本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義))からなり、その3つの部分のエッセンスであるべきだからだ。

 そこで、研究目的(概要)は、研究目的の本文の2ページ部分から、背景、目的、展開に相当する重要な部分を抜き出してきて、合計で8行くらいにまとめるとよいものができる。

研究目的(概要)は、研究目的の本文に対応した概要部分を書く


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「背景」にはなにが問題なのか、未解明なのか、解決すべき問題はなにか、なぜこの研究の意義があるのか、などを書く

 意外に「なにが問題なのか?未解明なのか?」が書かれていない例が多い!1〜2行で、申請者が計画している研究の背景を書く。残りの1〜2行で、問題点や未解明の課題を書く。「なにが問題なのか?未解明なのか?」この研究の意義をしっかりと書くこと。

(あまりよくない例)
研究目的(概要)の書き方 あまりよくない例

この例では、研究の背景が書かれていない。しかし本文中には
 ○1,3-ジチアンヌクレオシドユニットは細胞環境の酸化的あるいは還元的状態によってジスルフィド型とジチオール型の構造をとると予想され、この構造変化を時空間制御のスイッチとして利用
 ○次世代バイオ医薬品として期待の高い siRNA医薬品であるが、in vivo での有効性の発揮が難しく、未だ医薬品としての成功例はない。

と、きちんと研究の背景が書かれている。この部分をまとめて背景にすればよい。

(改良したもの)
研究目的(概要)の書き方 改良したもの

「目的」には、何を明らかにするのかを具体的に書く

 何を研究するのか、わかりやすく2行くらいで書く。研究目的こそが、申請者の研究の中身であるので、しっかりと書くこと。

(あまりよくない例)
研究目的(概要)の書き方 あまりよくない例(2)

 上の例では、研究目的を2行くらいでまとまってあって、このままでも悪くはないのだが、「客観的指標」をもっと具体的に書くとより良くなる。具体的にするには、実例をいくつか上げて書けばよい

例えば、
 客観的指標→光トポグラフィーを用いた脳血流量の変化を測定する

(改良したもの)
研究目的(概要)の書き方 改良した例(2)

「展開」部分には、この研究によって何が明らかになるのかを書く

 ここでは申請書に書いた研究の意義はなにか? またどのような応用が考えられるのか?などを書く。2行くらいで簡単にまとめる

(あまりよくない例)
 この研究によってなにが明らかになるのか?研究の「展開」「応用」が書かれていない。
研究目的(概要)の書き方 あまりよくない例(3)

この例も、やはり本文には「展開」にあたる部分がしっかりと書かれている。そこで、本文中から「展開」にあたる部分を抜粋してまとめると、よいものができる

(改良したもの)
研究目的(概要)の書き方 改良した例(3)

 以上が研究目的(概要)のポイントで、重要なことは研究目的(概要)は本文が出来上がって一番最後に、本文から「背景」「目的」「展開」を抜粋してきてまとめることだ。そうするとまとまった良い概要が出来上がる。

kojima_prof_s児島将康(こじま・まさやす)
淡路島生まれ。1988年宮崎医科大学大学院博士課程修了(医学博士)。
日本学術振興会特別研究員を経て、1993年国立循環器病センター研究所生化学部室員、1995年より同室長。2001年より久留米大学分子生命科学研究所遺伝情報研究部門教授。
研究テーマは未知の生理活性ペプチドの探索と機能解明。グレリンを中心とした摂食・代謝調節の研究。趣味は山登り、クラシック音楽、読書、映画鑑賞など。山は槍ヶ岳が一番好き。「研究は山登りであり、研究者は山に登らなければならない」と、思いませんか?クラシック音楽はもっぱら聴くだけ。CD購入枚数は年間500枚以上で、最近は完全に飽和状態。活字中毒。出張で時間があれば映画館へ。

著書:「科研費獲得の方法とコツ」(羊土社)

科研費獲得の方法とコツ 改訂第4版〜実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略科研費獲得の方法とコツ 改訂第4版〜実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略
単行本: 237ページ
出版社: 羊土社; 改訂第4版 (2015/8/13)
言語: 日本語
ISBN-10: 4758120595
ISBN-13: 978-4758120593
発売日: 2015/8/13
商品パッケージの寸法: 26 x 18.2 x 1.6 cm


■もっと詳しく知りたい方にお薦めの書籍
科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック
単行本: 327ページ
出版社: 羊土社
言語: 日本語
ISBN-10: 4758120692
ISBN-13: 978-4758120692
発行: 2016年8月
商品パッケージの寸法: A5版

研究者必読! 科研費申請書をより良くするためのポイント

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