知らないと損をする学術英語の基礎

■出典:学術英語アカデミー パケット道場~初級アカデミック英語講座~

研究者にとって、国際舞台で自身の研究結果を発信するために英語は必要不可欠なツールのひとつ。しかし、ビジネス用の英語レッスンは巷にあふれていても、学術研究者向けの英語を教えてくれる場はほとんどないのが実情です。初めての英語論文の執筆や学会発表は、研究室の先輩や仲間の見よう見まねで乗り越えた……という方も多いのではないでしょうか。本コラムでは、初めて英語論文を書く方や学術英語の基礎をもう一度押さえたいという方のために、自らも物理研究者であり、長年京都大学で英語指導を行ってきたパケット先生が、研究者による研究者のための“使える”英語論文執筆の基礎知識をご紹介します。

◎前回『英語で間違いやすい用語や表現 “大文字・小文字の使い分け“ (2)』はこちら

◎前回に引き続き、大文字と小文字の使い分け方について、ご紹介していきます。

論文中のセクション、数式などを指す名詞

論文の中で本論文中または他の論文中のセクション、数式、図などに言及することはよくありますが、それらを指し示す際には、固有名詞を用いる場合と普通名詞を用いる場合、どちらのケースも存在します。以下にそれぞれの場合における例文を示します。

  1. (a) Let us consider Eq. (3.2).
    (b) Let us consider the above equation.
  2. (a) The results are listed in Table 1.
    (b) The results are listed in the following table.
  3. (a) Each of these functions is plotted in Fig. 3.
    (b) Each of these functions is plotted in the figure.
  4. (a) In Section 4, we discuss the present political situation in Chile.
    (b) In the following section, we discuss the present political situation in Chile.
  5. It is interesting to compare this equation with Eq. (4.5) of Ref. [4].

文頭

文頭では、原則として文章は大文字から始まります。したがって、「大文字」になりえないもの(記号、数字、数式、など)は文頭に置くべきではありません。

種名

“大文字・小文字の使い分け“(1)」で生物分類における大小文字の使い分けを説明しましたが、ここではその中でも「種名」についてもう少し詳しくお話します。

種名(正確には学名)は、動植物の場合には「属名+種小名」、細菌の場合には「属名+種形容語」となります(この命名法は「二名法」と呼ばれ、英語では「binomen」となります。)。その際の種名の大小文字の使い分けについては明確な規則があります。属名の先頭文字は大文字となり、種小名、または種形容語は小文字になります。また、属名においてはその先頭文字だけが表記される(たとえば、「Escherichia coli」が「E. coli」になる)ことが多く、その場合も、属名の先頭文字のみが大文字となります。さらに亜種まで指定する場合は、「Puma concolor cougar」または「P. c. cougar」という形となります。

◆今回のポイント
1)論文中のセクション、数式、図を指し示す場合は固有名詞、普通名詞かで判断する
※固有名詞、普通名詞を用いる場合で、それぞれ大文字、小文字を使い分けます。
2)「文頭」原則大文字
※したがって、「大文字」になりえないもの(記号、数字、数式、など)は文頭に置かない。
3)生物分類の「種名」は、明確な規則がある
※属名の先頭文字は大文字となり、種小名、または種形容語は小文字になります。
※大文字・小文字表記と直接関係ありませんが、種名(亜属名、亜種小名を含む)は通常、斜字体で綴られるのに留意する。
『英語で間違いやすい用語や表現 「大文字・小文字の使い分け」(4)』につづきます
Glenn Paquetteグレン・バケット(Glenn Paquette)
1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。
1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現
単行本: 688ページ
出版社: 京都大学学術出版会 (2004/09)
言語: 日本語
ISBN-10: 4876986290
ISBN-13: 978-4876986293
発売日: 2004/09
商品パッケージの寸法: 22 x 15.5 x 4.5 cm

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