知らないと損をする学術英語の基礎

■出典:学術英語アカデミー パケット道場~初級アカデミック英語講座~

研究者にとって、国際舞台で自身の研究結果を発信するために英語は必要不可欠なツールのひとつ。しかし、ビジネス用の英語レッスンは巷にあふれていても、学術研究者向けの英語を教えてくれる場はほとんどないのが実情です。初めての英語論文の執筆や学会発表は、研究室の先輩や仲間の見よう見まねで乗り越えた……という方も多いのではないでしょうか。本コラムでは、初めて英語論文を書く方や学術英語の基礎をもう一度押さえたいという方のために、自らも物理研究者であり、長年京都大学で英語指導を行ってきたパケット先生が、研究者による研究者のための“使える”英語論文執筆の基礎知識をご紹介します。

◎前回『英語で間違いやすい用語や表現 “大文字・小文字の使い分け“ (1)』はこちら

◎前回に引き続き、固有名詞にかかる英語表記の「大文字・小文字の使い分け」についてご紹介していきます。

固有形容詞

固有形容詞は固有名詞に由来する形容詞のことです。固有形容詞には、固有名詞が変形したもの(例えば、「Irish」、「African」、「Westernized」、「Newtonian」)と固有名詞がそのまま形容詞の働きをするもの(例えば、「the Schrödinger equation」、「Bernoulli’s principle」、「the Turing test」における「Schrödinger」、「Bernoulli’s」、「Turing」)があり、どちらのケースでも一般的に語頭の文字は大文字です。

固有名詞に由来する普通名詞

固有名詞に由来する普通名詞は専門用語の中によく存在し、科学の分野には特に多く見られます。たとえば以下の名詞はすべて人名に由来します。

algorithm (Al-Khwarizmi)、Hamiltonian (William Hamilton)、bel (Alexander Graham Bell)、pasteurization (Louis Pasteur)、Celsius (Anders Celsius)、Lagrangian (Joseph Louis Lagrange)、fermion (Enrico Fermi)

ご覧のとおり、この場合大小文字の使い分けについてはルールがなく、大文字を使用するかどうかは主に慣習によって決まります。

題名

題名(書名、論文のタイトル、映画のタイトル、章の見出し、など)は固有名詞の一種なので、基本的に上述のルールが適用されます 。しかし最近、特に学術ジャーナルでは論文のタイトルとセクションの見出しの先頭文字のみが大文字に、それ以外が小文字になる例もよく見受けられます。
現在はどちらの形式もよく使用されますので、どちらを選んでも、一貫性を保てば問題はありません。出版物である場合は出版社独自の書式に揃えられます

◆今回のポイント
1)「固有形容詞」は一般的に語頭の文字は大文字
 ※固有形容詞には、固有名詞が変形したものと、固有名詞がそのまま形容詞の働きをするものの2種類があります
2)「固有名詞に由来する普通名詞」は、大小文字の使い分けについてはルールがなく、主に慣習で決まる
3)「題名」については、固有名詞の一種なので、基本的に「固有名詞」のルールが適用される
 ※最近は、学術ジャーナルで論文のタイトルとセクションの見出しの先頭文字のみが大文字に、それ以外が小文字になる例もある
 ※一貫性を保てばどちらでも問題はない
 ※出版物である場合は出版社独自の書式に揃えられる
『英語で間違いやすい用語や表現 「大文字・小文字の使い分け」(3)』につづきます
Glenn Paquetteグレン・バケット(Glenn Paquette)
1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。
1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから

科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現
単行本: 688ページ
出版社: 京都大学学術出版会 (2004/09)
言語: 日本語
ISBN-10: 4876986290
ISBN-13: 978-4876986293
発売日: 2004/09
商品パッケージの寸法: 22 x 15.5 x 4.5 cm

 あわせて読みたい
Recommended by エナゴ 学術英語アカデミー

logo_300英語論文執筆者のための英文校正サービス エナゴ


英語論文を書き上げ、いざジャーナルに投稿しても、文法ミスや拙い表現が残る原稿では査読に進めない可能性があります。なぜなら、言語面で完成度の低い論文は、学術的な厳密さにおいても懐疑的だと考える学術誌編集者が多いからです。
学術論文に特化した英文校正サービスを提供するエナゴでは、お客様の専門分野と合致した英語ネイティブが原稿を徹底チェック。言語面のミスから投稿規程の順守にいたるまで、細部にわたってプロの目で添削し、ブラッシュアップいたします。研究論文の投稿前にぜひ一度ご検討ください。

英文校正・英文校閲エナゴ サービス・料金の詳細はこちら