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英教育専門誌「Times Higher Education」から、アジア地域の大学ランキングが発表された。ここ数年トップをキープしていた東京大学が7位に、それに代わりシンガポールの大学2校が1、2位と大きくランクアップの結果となった。

Asia University Rankings 2016: top 10

2016 Asia rank World University Rank 2015-16 Institution Country
1 26 National University of Singapore Singapore
=2 55 Nanyang Technological University Singapore
=2 42 Peking University China
4 =44 University of Hong Kong Hong Kong
5 =47 Tsinghua University China
6 59 Hong Kong University of Science and Technology Hong Kong
7 43 University of Tokyo Japan
8 116 Pohang University of Science and Technology South Korea
9 85 Seoul National University South Korea
10 148 Korea Advanced Institute of Science and Technology (KAIST) South Korea

 

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こういったランキングの話となると、どうしても順位だけに目がいきがちだ。特に今回のように、3年間トップだった東京大学が7位になったとなれば衆目を集める為、巷の記事タイトルも目を引くような見出しになってしまうのも否めない。

さて、実際の評価基準だが、「教育」「研究」「引用」「国際的な展望」などの主要分野に対し、さらに細かな項目で評価されるがこの評価比重に変更がみられる。例えば、「教育の質・学習環境」の比重が下げられ、「産業連携による収入」比率が引き上げられたりなどだ。特に論文については、2015年までThomson Reutersを参照していたが、今回の2016年ではエルゼビアのScopusに変更され、過去を含め対象論文範囲が広くなったのも評価に影響がなかったとはいえないだろう(日本の論文シェアは7%程度)。
という訳で、評価基準がかわれば順位は簡単に変動する。その都度のランキングに振り回されるのは得策とはいえない。それより憂慮すべきは、総括での「日本の教育投資プログラムは減少傾向にあり、新しい価値創出やグローバルに世界と争うのが難しい状況である」という厳しい見かただ。

Japan’s special funding programmes for global competition and internationalisation are on a much smaller scale and operate as compensation for underfunding rather than creating new value.

東京大学を例に個別の評価をみると、教育や研究では高い評価を得ているものの国際化については非常に低い評価になっている(1位のシンガポール国立大の「国際的な展望(International Outlook)」評価は96.2)。

University of Tokyo

Overall 67.8
Teaching 78.3
International Outlook 30.3
Industry Income 50.8
Research 79.5
Citations 60.9

世界における評価においてもグローバル視点が重要視されている事がうかがえる。我が国の科学分野における世界的なプレゼンスを上げるためには、積極的に海外からも研究者が訪れる環境づくりが必要だろう。
本年度から、第5期科学技術基本計画がスタートした。イノベーションを生み出す研究開発、若手人材の育成といった基盤の強化などにより、「世界で最もイノベーションに適した国」を目指すと謳っている。今後の政策に注視していきたい。