Periodic Chart of the Atoms

Photo by Tim Pierce

理研仁科加速器研究センター超重元素研究グループの森田浩介グループディレクター(九州大学大学院理学研究院教授)を中心とする研究グループ(森田グループ)が国際純正・応用化学連合(IUPAC)へ3月18日に提出していた元素名案および元素記号案について、6月8日よりIUPACによるパブリックレビューが開始された。元素名案は「nihonium(ニホニウム)」、元素記号案は「Nh」

研究グループは、昨年末「113番元素」の新発見者として認められ、IUPACより元素名の命名権を獲得していた。

パブリックレビューは5ヶ月間行われ、その後IUPACから正式な元素名と元素記号名が発表される。
これにより、欧米以外の研究グループが発見した元素名が元素の周期表に刻まれるのは科学史上初、アジアの国として初めて、日本発の元素名が加わる事となる。

 

ポピュラーな元素名では、“ゲルマニウム(ドイツ)”など、国名にちなんだ元素名は数多くある。日本初という事で今回もやはり、国名にちなんだ「ニホニウム」が提案された。実は過去に日本名の元素名が申請された事がある。小川正孝教授が1908年に43番目の元素として「ニッポニウム」を発表したが追試で存在の明確な証拠を得られなかった為、当時は採用されず幻と終わった。今回100年来の悲願達成となった。

現在、超重元素(原子番号104番のラザホージウム(Rf)以降の重い元素)の探索実験は、米国、ロシア、ドイツが先行しており、この113元素においても我が国以外に、米、ロが新発見を主張しIUPACに申請していた。そういった中で113番元素の元素命名権(新発見者)を日本の研究グループが獲得した事は意義深い。研究チームに参加した多くの大学、研究機関の研究者と、安定したビーム照射精度や分離装置の性能など、日本の総合的な科学技術の成果だ。

113番元素の合成実験は2012年10月1日をもって終了している。現在、森田教授は「核子移行」と呼ばれる新しい手法で、次のターゲット119番元素合成の実現に向けて動き始めている。「元素の存在限界を見極めたい」という森田教授の挑戦は続く。
基礎研究はたしかに日々の生活に直接影響や恩恵をあたえる事は稀だ。しかし、これからの学生達は、周期表に「ニホニウム」が記載された教科書で学ぶ事となる。この中から科学に興味を持ち、未来を担うサイエンティストが生まれるのを期待してやまない。