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東京大学大学院理学系研究科の山野 峻大学院生、西増 弘志助教、石谷 隆一郎准教授、濡木 理教授の研究グループはMassachusetts Institute of TechnologyのFeng Zhang博士らとの共同研究により、Cpf1の分子構造を決定し、そのはたらきを世界で初めて原子レベルで解明することに成功した。この研究成果は米科学誌Cellに掲載された。

また本研究は、文部科学省(2014年度)・日本医療研究開発機構(AMED)(2015年度以降)革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業「新規CRISPR-Cas9システムセットの開発とその医療応用」(研究代表者:濡木 理)、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業「立体構造にもとづく次世代ゲノム編集ツールの創出」(研究代表者:西増 弘志)の一環で行われた。

本サイトBeats!でもゲノム編集の革新的な技術とされるCRISPR/Cas9をご紹介した事があるが、CRISPR/Cas9は、もともとは細菌や古細菌などがもつCRISPR-Cas系といわれる獲得免疫機構の働きをゲノム編集に活用したものだ。今回の研究成果も、昨年新たにゲノム編集に利用できることが報告されたCRISPR-Cas系のCpf1についての成果だ。

研究報告によると、Cpf1を用いたゲノム編集の方法はCas9と同様にガイドRNAと協働して標的DNAを切断するはたらきを持つ。しかし、Cpf1がDNAを切断する分子機構についてこれまで不明とされてきた。今回研究チームは世界で初めて原子レベルの解明に成功した。これによりCpf1とCas9とのDNAの「はさみ」としてはたらく部分の構造切断に大きな違いがある事が原子レベルで明らかとなった。Cas9において、構造情報からCas9改変体が数多く作られゲノム編集技術や周辺研究が促進された点からも、今回のCpf1の構造解明で新たなゲノム編集技術の向上や効率化が期待される。