知らないと損をする学術英語の基礎

■出典:学術英語アカデミー パケット道場~初級アカデミック英語講座~

研究者にとって、国際舞台で自身の研究結果を発信するために英語は必要不可欠なツールのひとつ。しかし、ビジネス用の英語レッスンは巷にあふれていても、学術研究者向けの英語を教えてくれる場はほとんどないのが実情です。初めての英語論文の執筆や学会発表は、研究室の先輩や仲間の見よう見まねで乗り越えた……という方も多いのではないでしょうか。本コラムでは、初めて英語論文を書く方や学術英語の基礎をもう一度押さえたいという方のために、自らも物理研究者であり、長年京都大学で英語指導を行ってきたパケット先生が、研究者による研究者のための“使える”英語論文執筆の基礎知識をご紹介します。

◎前回『学術著作物における“数値表記”の基本(前編)』はこちら

◎学術著作物における「数値表現」、前回は数値の大小による表記の使い分けと、文系、理系での表記の違いについてご紹介しました。後編では基本的な記載のルールと日本人にはなじみが薄い「分数」の表記についてご紹介します。

文章中の数値を置く“位置”

数字を文頭に置くことは避けるべきです。

  • [誤] 1917 was the year of the Russian Revolution.
  • [正] The Russian Revolution occurred in 1917.
  • [正] The year of the Russian Revolution was 1917.
  • [誤] (3.1±0.2) x 106 eV is the currently accepted value.
  • [正] The currently accepted value is (3.1±0.2) x 106 eV.

表記法の“統一性”

あるひとつの文において同類の数値を表すものの表記法を統一すべきです。

  • [誤] The first event lasted roughly 350 years, while the second lasted just six years.
  • [正] The first event lasted roughly 350 years, while the second lasted just 6 years.

“分数”の表記

文系の分野では、分数を「two-thirds」、「one-fourth」などのように表記するのが一般的です*。ただし、帯分数は必ず数字で表記します。一方、理系の分野では分数は一般的に数字によって表記します。

* 「one-half」はよく「half」とも書きます。

より詳しい解説については
University of Chicago, The Chicago Manual of Style (16th ed.), (Univ. of Chicago Press, 2010). ISBN 978-0-226-10420-1.
の第13章をご参照ください。

◆今回のポイント
1)文頭に数字を置く事はさける
2)同類の数値を表すものの表記法は統一する
3)(文系で良くみられる)分数の表記法
  例1)two-thirds ⇒ 3分の2 の意
  例2)「one-half」はよく「half」とも書く 
『英語で混同しやすい用語や表現「exampleとsample」』につづきます
Glenn Paquetteグレン・バケット(Glenn Paquette)
1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。
1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから

科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現
単行本: 688ページ
出版社: 京都大学学術出版会 (2004/09)
言語: 日本語
ISBN-10: 4876986290
ISBN-13: 978-4876986293
発売日: 2004/09
商品パッケージの寸法: 22 x 15.5 x 4.5 cm

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