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グローバルな視点を求める「理想の追求」

--続いて「理想の追求」についてお伺いします。昨年に引き続き、「食」がテーマとして取り上げられています。テーマの背景について教えてください。

「理想の追求」は、「グローバルな視点で、人類に夢を与え、大きな課題を解決するような」とありますように、公共性がかなり高く、社会に大きなインパクトを与える研究を求めています。また、分野融合型とあるように、プロジェクト型の研究を条件にしています。

「食」を選んだのは、飢餓と飽食、安全保障、第6次産業化、文化・健康・美味しさ、安全性など我々の生活に密着した多様なテーマがあることが理由です。JSPS(日本学術振興会)での食料循環研究や農水省の異分野融合共同研究で取り上げられるなど、トレンドに先駆けたテーマになっていると思います。

--選考基準と応募数を教えてください。

こちらも募集要項に載せていますのでご覧ください。

グローバルな視点から挑戦し、人類に夢を与え、大きな課題を解決するような、分野融合的研究プロジェクトを支援
社会へのインパクトが大きい挑戦的な研究
挑戦性、独創性、先駆性、貢献性、研究体制、計画性

「理想の追求」募集要項より抜粋

「理想の追求」の応募数は、毎年100件を超えています。

--応募者への期待、意識して欲しい視点はどのようなものでしょうか。

キーワードに人をあてはめるとチャレンジャブルな人、大きい視点を持っている人です。募集要項に書いてあること以外ですと、若手を重視します。実績は無くてもかまいません。アイデア勝負で、ここは民間ならではの部分ではないかと思います。

さらに、「だから何なんだ」という「So What」を重視できる人ですね。研究内容を含めて世の中一般の人に分かりやすく伝えることができる人です。でないと、独りよがりの研究になってしまう。研究の結果、世の中にどういうインパクトを与えるのか、応用研究にどういったインパクトを与えるのかをきちんと説明することを意識して欲しいです。

丁寧な選考会ときめ細かいフォローアップが特色

--キヤノン財団様ならではといった特色がありましたらお願いします。

選考会をかなり丁寧におこなっていることと、きめ細かいフォローアップでしょうか。選考委員の先生は「産業基盤の創生」が11名、「理想の追求」が5名いらっしゃいますが、偏りが生じないように「産業基盤の創生」の書面審査は、応募1件に対して複数名で見ています。また、「理想の追求」は、全選考委員で見ています。

対象分野が広いので、少なくとも1人は専門の先生に入っていただきますが、専門領域と違う先生にも入ってもらう形になりますので、自分の専門領域の用語だけで申請書が書かれていると、却って不利になることもあります。社会との距離感とか、表現力が必要になってきますね。
書面審査の後は、全選考委員による一次選考会、二次選考会(面接)を行っています。

後、フォローアップをしっかりやっていて、研究期間中、財団職員が全研究室を訪問して、進捗を確認させていただくと共に、相談や要望に応じています。また研究者が望む場合には、選考委員の先生に入ってもらって、相談に応じるなど、きめ細かい対応をしています。特に若い人たちはこういった支援を必要としていると思います。

キヤノン財団のアウトリーチ

--アウトリーチについてお伺いします。キヤノン財団ライブラリーとして研究成果を本にまとめられていますね。「野生動物は何を見ているのか ~バイオロギング奮闘記~」での動画(研究データ)との連携は面白かったです。

キヤノン財団のアウトリーチとしてこの活動をしています。出版費用を財団が全部負担しています。動画との連携は研究者の発案です。

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私達は助成対象者同士や助成対象者と財団との交流の機会を持ちたいと思っています。研究成果を発表する場を設け、OBの方を呼んだりしています。特に、「理想の追求」の場合は、研究途中の中間報告、ポスターセッション、結果報告を行っていますので、同時期に研究をしている方、OBの方とも交流ができます。

--財団の活動を通じて、うれしかったことや密かな自慢とかはありますか。

研究が終わった後に、文部科学大臣賞を受賞したとか、ネイチャーに掲載されたとかの連絡をもらえたときは励みになりますね。カワイルカの研究(第2回「理想の追求」採択)もちょうど出版しようとしたときにフジサンケイグループ賞を受賞しています。

--そのうち、国際的な賞を取られる方も出てくるのではないでしょうか。本日はありがとうございました。

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