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Photo by Kevin Dooley

東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 有馬孝尚教授、同豊田新悟大学院生、東京大学物性研究所 松田康弘准教授らは、東北大学金属材料研究所と共同で、メタホウ酸銅の結晶が低温強磁場下において、ある向きに進む赤外光に対して透明なのに対して、逆向きに進む同じ波長の光に対して不透明になることを発見したと発表した。近年の研究では物質が一対の光の吸収に差が生じる場合(方向二色性)があることが分かっていたが、このような一方向透明現象が観測されたのは初となる。この研究成果はPhysical Review Letters誌に掲載された。

電気が原因となる光の吸収と磁気が原因となる光の吸収が足し合わせられたり打ち消しあったりする効果に目を向けました。その結果、非常に強い磁場のもとでは一方向透明現象が生じてもよいことが理論的に予測されました。ただし、一方向透明現象を可能にすると期待される磁場の値は50テスラを超えており、通常の方法では作ることができません。そこで、東京大学物性研究所附属国際超強磁場科学研究施設の松田康弘准教授らと共同研究を行い、メタホウ酸銅を摂氏マイナス269度に冷却したうえで一瞬だけ強い磁場を作用させて、光の吸収を測定しました。その結果、波長が879ナノメートルの赤外線がメタホウ酸銅の結晶のある方向に進むとき、53テスラ磁場のもとで吸収がなくなることを発見しました。

一方向からは不透明で、もう片方からは透明になる状態は、極めて特殊な条件下においての現象とのことで、実用化にはまだ時間が掛かりそうだ。

本研究成果により発見した一方向透明現象は、低温強磁場下という極端な条件下で生じることから、このまま応用にはつながりません。しかし、今後の研究の進展によって、光を一方向だけに透過させるマジックフィルターなどの光学素子を可能にする技術となることが期待されます。

常温での再現など今後の研究に期待したい。が、それはそれとして、今回の研究発表に伴い、鏡のあいだに一方向透明の物質を置いた場合どうみえるのかという疑問で盛り上がっているサイトがあった。実際どう見えるのだろう興味は尽きない。どなたかわかる方がいらしたら是非、やさしく教えていただきたい。

関連情報
ニュース:一方向透明現象を発見 - 東京大学
One-way transparency of light in multiferroic CuB2O4 - Physical Review Letters
・[DOI] 10.1103/PhysRevLett.115.267207