Will Sowards_panda

Photo by Will Sowards

2015年12月15日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに、ジャイアントパンダの繁殖率の向上についての研究結果が報告された。

論文の中で、研究チームは「ジャイアントパンダは好みのパートナーとつがいになると、交尾率と出産率が著しく向上する」と述べている。

白と黒のはっきりとした愛くるしい体毛の柄で、動物園の人気者ジャイアントパンダ。IUCN(国際自然保護連合)が取りまとめたレッドリストの危機評価はENで、WWF(世界自然保護基金)のロゴにもなっている絶滅危惧種だ。

絶滅を防ぐため、研究者はジャイアントパンダの繁殖活動を推進しているが、動物園で飼育されているジャイアントパンダは性欲が乏しい。その為、さまざまな手法が試みられているが成功率は低く研究者は頭を痛めていた。

今回の研究発表によると、米国と中国の科学者による研究チームは、パンダに自分の相手を選ばせると違う結果を生むかどうかを検証する実験を実施した。

実験ではまず、複数の雄と雌を隣り合わせの囲いに分けて入れた。雄と雌の間には仕切りの柵があり、身体的交流が制限されていた。この状態で研究チームは、パンダの「繁殖相手選好行動」を測定した。選好行動にはさまざまな形態の遊びや絆形成行為、性的興奮などが含まれていた。一方、「否定的」な交流には、攻撃性を示す場合や単なる無関心などが含まれる。

その後、繁殖のためにこれらの雄と雌に、好みの相手と好みでない相手の両方を対面させた。その結果「雄と雌の両方が相互に選好行動を示した場合、繁殖成績が最も高くなる」ことを研究チームは発見した。

なにをいまさらと思われる方も多いと思うが、通常の場合近親交配などを少なくするため、研究者が遺伝子的特徴に基づいた相手と引き合わせる。今回の実験により、遺伝子的特徴ももちろん大事だが、「好み」という主観的な要素もジャイアントパンダの繁殖に重要なことである事が改めて示唆された点で意義深い。

「繁殖相手の不適合は、繁殖率の低下を招くことで、飼育下繁殖計画の妨げとなる可能性がある。従って、飼育下繁殖計画の中でこれまで、繁殖相手の好みがそれほど大きく取り上げられてこなかったことは驚くべきだ」と論文は述べている。ジャイアントパンダにおける繁殖相手の好みの影響を「厳密に調査」したのは今回の研究が初めてだという。

これによって、ジャイアントパンダにとっても好みのパートナーを選べるようになってhappy、研究者にとっても繁殖の成功率があがりhappyとなるかもしれないし、白黒柄のパンダの赤ちゃんが動物園などでみられる頻度があがるのは個人的にもhappyなことだ。本年も良い年になりますように。今年もサイエンス・カフェをよろしくお願い申し上げます。