4097094562_8a894cd367_z

Photo by p.Gordon

光格子時計のアイデア自体の提唱者でもある香取教授(東京大学大学院工学系研究科 教授)らは昨年2月、ストロンチウムの原子を用いて160億年で1秒しか狂わない光格子時計を開発しました。

現在「国際原子時(TAI)」として利用され、時間の単位である「秒」を定義しているのは、英国のルイ・エッセンが発明したセシウム原子時計です。このセシウム原子時計の精度は15桁で、3,000万年に1秒のずれになります。香取教授らのストロンチウムの原子を用いた光格子時計は18桁の精度に達し、セシウム原子時計の精度を上回ることを実現しました。

今回、香取教授ら研究グループは、水銀原子を用いた光格子時計を新たに開発し、昨年2月に開発したストロンチウム光格子時計と直接比較する事で、現在の「秒」の定義の実現精度を超える周波数を計測することに成功しました。

光格子時計の精度向上を阻む困難の1つは、原子の周辺環境から放射される電磁波が「原子の振り子」の振動数を変化させてしまうことでしたが、研究グループは、黒体輻射の影響を受けにくい水銀原子を用いた光格子時計を開発。今回、紫外レーザーの安定動作技術を確立したことで、セシウム原子時計の精度を上回る水銀光格子時計を初めて実現しました。

この成果は、将来の「秒」の再定義も視野に入れた成果です。今後さらに異種の原子時計の高精度な比較を行うことを目指すことで、これまで「物理定数は定数である」との暗黙の仮定の上に成り立ってきた現在の物理学の体系を根底から覆す可能性が出てきます。

この研究成果は、米国物理学会誌「Physical Review Letters」のオンライン版に公開されてます。
以下の関連情報にてご紹介いたします。