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5月23日、東京大学駒場キャンパスにおいて、学術英語学会の第1回大会が開催されました。

一般社団法人 学術英語学会(J-SER) は、2014年8月、トム・ガリー教授(東京大学)、﨑村耕二教授(日本医科大学)が発起人となり、全国から48名の教授の賛同を得て法人化された学術団体で、近年の大学を中心とする学術研究機関において、英語による国際的発信の要請(研究成果の発表、国際学会での口頭発表や討論、海外の研究者との通信、研究者交流等)が高まるなか、実際の現場研究者に対する支援が不十分である現状を踏まえ、学術英語の研究を促進させ,日本で学術研究活動に従事している研究者を支援することを目的に設立されたものです(設立趣旨 )。

■ 学術英語学会とは
学術英語学会の設立背景には、研究者の方々が抱える大きな困難があります。

研究成果を海外に向けて発表する必要性は近年ますます高まる一方であり、英語によるライティングやコミュニケーションの技能は、多くの分野で研究者の必須スキルとなっています。しかしながら、研究者として独立するまでには、そのような必要性に対応するための教育プログラムは提供されず、また、独り立ちした後も十分なサポートを得られないまま、他の研究者(指導教官や先輩)から「徒弟制」で英語スキルを学ばざるを得ず、苦労しているのが日本の研究者たちの実情です。

すべてが個々の研究者の能力および経済的条件に委ねられている現状を改善するために、研究会・学習会・ワークショップなどの企画を通して意見・情報交換・相互啓発の場を設け、みんなで「英語の体力づくり」を行うことにしました。それが、学術英語学会(J-SER)です。

今回、学会設立後初めての大会となる本会は3部構成で開催、約150名が参加し盛況のうちに行われました。

■ プログラム
・開会挨拶及び概要説明 13:00~13:30
・第1部 特別講演 13:30~14:40
「アカデミックライティングの科学: コーパスが拓く新しい可能性」
  講演者: 石川 慎一郎 (神戸大学教授)

・第2部 パネルディスカッション 14:50~16:20
「研究者として生き残るための英語力: 英語をめぐる苦労,そして克服への道」
  畠山 昌則 (東京大学大学院教授 微生物学)
  松本 涼 (福井県立大学講師 ヨーロッパ中世史)
  山本 裕 (京都大学名誉教授 システム制御理論)
  松田 恭幸 (東京大学大学院准教授 物理学)

・第3部 講演およびワークショップ(同時開催) 16:30~17:30
 (1) 講演: 「理工系研究者のための英語」
   講師: 金谷 健一 (岡山大学名誉教授 コンピュータビジョン)

 (2) ワークショップ: 「英語論文執筆の落とし穴と安全網」
   講師: トム・ガリー (東京大学大学院教授)

第1部の石川慎一郎教授(神戸大学)は、近年注目を集めているコーパス言語学という手法を用いて、アカデミックライティングに「科学的に」対応できないかという観点で特別講演を行いました。

第2部は、医学、歴史学、工学、物理学の各界から、著名な研究者が登壇し、かつてどのように英語に挫折し、そしてどう英語の壁を乗り越えたかを、それぞれの思い出を振り返りながら語られ、専門分野は違えども、日本人研究者の抱えている課題は共通であることが強く感じられました。

第3部は、学会の発起人であるガリー教授によるワークショップと、理工系の研究者に対する英語教育に関して何本も著作を発表されている金谷健一教授(岡山大学)による講演の2つのコースに分かれ、2講義を同時に開催され、それぞれ定員を上回る参加者が詰めかけ、一部は立ち見の盛況になりました。

学術英語学会では、今回の第1回大会を皮切りに、今後も様々な取り組みや活動を国内外の研究者の方たちと実施していきたいとのこと。今後の学術英語学会の取組みが期待されます。

関連情報:
一般社団法人 学術英語学会 ホームページ