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ORCID(オーキッド)という言葉をご存じでしょうか。ORCIDとは、Open Researcher and Contributor IDの略称で、世界中の研究者に一意の識別子を与えることを目指す国際的な非営利組織です。研究論文や国際共著が急増する中 で、同姓同名や婚姻による姓の変更、研究者の異動などにより論文執筆者の同一性の判断が困難になっています。この名寄せ問題を解決しようと立ち上がったプロジェクトがORCIDです。ORCIDを論文投稿に組み込む出版社も現れ、研究者としても無関心ではいられません。

そこでコラボリー/Beats!では、今回、このORCIDを取り上げ、ORCIDのメンバー機関(ORCID Premium Member)としてORCIDの活動を支援されている株式会社アトラスの大澤響さんにORCIDについて解説していただきます。
第2回目は、ORCIDの普及活動をご紹介いたします。

 

ORCIDの登録件数

2012年10月にIDの登録申請受付を開始して2年半で、ORCIDの登録ID数は120万件を超えました。とてつもない数字ですが、全世界で研究活動に従事する研究者の数は1000万人とも言われますので、まだまだ道半ばです。特に欧米以外での登録数は全体の割合からすると非常に低く、特にアジアでの登録者数はまだ非常に少ない状況です。

ORCIDのさらなる普及と登録者数の増加のために、ORCIDおよびその活動に賛同し、支援するORCIDコミュニティーのメンバーは、さまざまな「アウトリーチ(普及)活動」を行っています。

 

コミュニティー

ORCIDの普及を支援するORCIDコミュニティーは主に以下のようなメンバーで構成されています。

Sponsors(スポンサー):50を超える学会、出版者、研究機関、学術関連企業がスポンサーとしてORCIDの活動を資金面で支援しています。

Members(メンバー):150を超える学会、出版者、研究機関、学術関連企業がメンバー機関としてアウトリーチ活動を支援しています。メンバーになることによって、ORCIDのAPIを利用した連携開発が可能になるなどの特権があります。アトラスもメンバー機関の1つとしてORCID連携機能の開発を通して、微力ながら普及のお手伝いをしています。

Ambassadors(アンバサダー):ORCIDの理念と活動に共感した80名を超える個人がボランティアのORCID大使として、さまざまなアプローチで普及活動を行っています。

これらのメンバーがアイディアを持ち寄り、さまざまなコラボレーションを通じてORCIDを世界に広める活動を行った結果が、登録数の飛躍的な増加という成果に結びついています。

アウトリーチ・ミーティング

ORCIDは毎年2回、春と秋にアウトリーチ・ミーティングを開催しています。このアウトリーチ・ミーティングではORCIDの最新の機能やインターフェースの紹介、今後の機能開発の予定の紹介をはじめ、学会や研究機関でのORCID普及の取り組みの事例紹介、グループ・セッションでのORCID発展のための意見交換などが行われます。

アトラスも2013年10月に米国ワシントンD.C.で開かれたアウトリーチ・ミーティングに初めて参加し、ORCIDの日本での普及に関してアトラスができることについて、多くのヒントを得ることができました。また、昨年2014年11月にはアジア初のアウトリーチ・ミーティングが東京で開催され、アトラスはスポンサーをつとめました。このアウトリーチ・ミーティングでは、日本だけでなく、韓国や香港といったアジア各地での研究者の名寄せ問題と、その解決のためにどのようにORCIDの普及を行っているかという事例紹介があり、日本でのORCID普及のアイディアを多く得ることができました。

57_765_f1 東京で開催されたアウトリーチ・ミーティングの様子

今年は5月にバルセロナで、また11月にサンフランシスコでアウトリーチ・ミーティングが開催されます。5月のバルセロナではアトラスが開発した新たなORCID連携ツールの発表を行う予定ですので、ご期待ください!

 

参考記事
ORCIDアウトリーチ・ミーティング in 東京 :宮入暢子(情報管理 57(10),2015)

◇株式会社アトラスについてhttp://www.atlas.jp/
アトラス1986年に創業されたシステム開発会社で、1999年から日本の学術雑誌の電子化システムに取り組んできた。学術大会の支援システムや、研究者向けツールの開発など、学術コミュニケーションや学術研究をITで支援するさまざまなサービスを提供している。