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[ インタビュー・ライティング, 森 旭彦 ]

研究活動の生命線である科研費。毎年申請の時期になって、「どう書いたらいいのか分からない」と先輩研究者を訪ねたり、研究室の過去資料をひっくりかえし、インターネット上を走り回っても、不安はつきものです。

この連載では、科研費を申請する際のバイブルともなっている『科研費獲得の方法とコツ』(羊土社)の著者である児島将康氏が、最新版の科研費申請のコツを紹介します。申請書で、ついつい筆が止まってしまう箇所の対処法や、採択されるための秘訣、「なんとしても獲りたい!」の願いを叶えるための具体的な方法論を、研究者の目線に立って伝えていきます。

第3回も 平成26年度までの科研費最新資料を用いて傾向の分析を行います
< 第2回はこちら >

挑戦心を武器に、重複公募も可能な挑戦的萌芽研究の魅力

応用の妙といえば、「挑戦的萌芽研究」も新学術領域研究と同じく、自分の研究分野とは違うところに応募した方が採択されることが多いのです。どれだけチャレンジングであるかということが評価されるため、違う分野から新しい手法等をいかに持ち込むかというところが評価されます。

もちろん、ある程度自分が行ってきた研究から「こうした成果が期待できる」ということを分かりやすく示せなければなりませんが、いい意味で新参者のアイデアが受け入れられやすいところがあります。

◆科研費(補助金分・基金分)配分状況一覧(平成26年度 新規採択分)
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出典:日本学術振興会 科研費データより

挑戦的萌芽研究というのは最近非常に応募件数が増えています。平成26年度の応募では15,366件で、前年度より1,501件の増加。採択数は3,950件で、前年度より368件増加しています。採択率は25.8%から25.7%へと微減しています。今年もこの傾向は踏襲されるでしょう。そして、狙い目でもあります。

業績面のハードルの低さから狙い目であると同時に難しい種目、挑戦的萌芽研究

挑戦的な研究として人気があり、採択件数も数年前に比べて伸びているほか、応募が増加しているもうひとつの理由として、挑戦的萌芽研究は業績を書く欄がない、という点が挙げられます。

基盤研究や若手研究には、申請書に最近数年間の論文発表などの業績を書く欄がありますが、挑戦的萌芽研究はそれらを一応求めていません。よって「最近論文がないから挑戦的萌芽研究に出す」という人もなきにしもあらず、です。いわば抜け道ですね。
もっとも、採択されるかといえば、またそれは別問題です。その研究者が自分で計画している研究をきちんと遂行できるかが評価されるため、そのための資料である論文がなければ苦戦するのは確かです。

こうした業績面のハードルの低さから狙い目であると同時に、難しい種目でもあります。というのも、他の種目と一緒に申請することができるからです。基盤研究(C)と若手研究(B)に申請している場合はできませんが、基盤研究(B)以上や若手研究(A)以上へ申請している、金額の大きい種目に申請している場合は、挑戦的萌芽研究にも重複して申請することが可能です。これにより、全体の応募件数は拡大し、競争率はさらに高くなってしまいます。

狙い目であり、その分難しい種目ですが、挑戦的で実験的な研究を受け入れる土壌があります。自身の研究内容を活かし、挑戦してみてはいかがでしょうか。

【第4回】 採択率を上げる秘策~採択数と配分額の関係性 に続きます


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kojima_prof_s児島将康(こじま・まさやす)
淡路島生まれ。1988年宮崎医科大学大学院博士課程修了(医学博士)。
日本学術振興会特別研究員を経て、1993年国立循環器病センター研究所生化学部室員、1995年より同室長。2001年より久留米大学分子生命科学研究所遺伝情報研究部門教授。
研究テーマは未知の生理活性ペプチドの探索と機能解明。グレリンを中心とした摂食・代謝調節の研究。趣味は山登り、クラシック音楽、読書、映画鑑賞など。山は槍ヶ岳が一番好き。「研究は山登りであり、研究者は山に登らなければならない」と、思いませんか?クラシック音楽はもっぱら聴くだけ。CD購入枚数は年間500枚以上で、最近は完全に飽和状態。活字中毒。出張で時間があれば映画館へ。

著書:「科研費獲得の方法とコツ」(羊土社)
kaken00_book科研費獲得の方法とコツ 改訂第3版〜実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略
単行本: 221ページ
出版社: 羊土社; 改訂第3版 (2013/8/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4758120439
ISBN-13: 978-4758120432
発売日: 2013/8/9
商品パッケージの寸法: 25.7 x 2 x 18.2 cm 


森 旭彦(もり・あきひこ)
サイエンスとの様々な接点を描写してゆくライター。
理系ライターチーム『パスカル』のメンバーであり、研究者インタビューや、大学のメディア制作などに関わっている。

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