研究の現場で聞いてみた!リバネス 高橋代表取締役社長

(前編1の続きです)

企業にとっての研究者とのコラボレーションの価値

インタビュー:リバネス高橋社長

杉山: リバネス研究費は研究者と企業とのコラボレーションを生むプラットフォームということですが、最近では眼鏡メーカーなどコラボレーション先もバラエティに富んでいますよね。

高橋: いろいろな企業に提案に行っています。面白いですよ。出来る限り多様な分野の研究費を作りたい、という希望を僕は持っています。多様な予算があった方が研究者にとっていい刺激になると思うからです。リバネス研究費は一つの知識プラットフォームであって、そこに様々な企業ニーズを放り込む。社会科学、生命科学、農学、食、ナノテク、ロボティクス、もうなんだって来い、と考えていて。あらゆる分野、幅広い分野をね。

今、研究費は毎月公募しています。リバネスは1年の間に出来るだけ多様な分野の研究費を準備するので、アクティブな研究者はどんどん集まって欲しいです。集まっているアクティブな若者達に対して、企業はますます興味を持って継続をする流れが広がっていくのです。相乗効果ですよね。

なお、多くの民間財団の研究費は、「有識者」が審査・採択をしています。それは科研費の審査員と同じ層であることが多いので、価値観の多様性はどうなのかな、と思います。一方でリバネス研究費の審査・採択は「企業の人達」にしてもらうので、多様なテーマが採択されます。それこそ科研費に落ちた申請も、企業の価値観では拾い上げられる可能性も十分にあるのです。

また、リバネス研究費は実は企業側の若手研究員の「コラボレーション先の目利き」の訓練、つまり研修的価値も認められています。企業の研究者育成だって課題はいっぱいあるのです。昇進したら急にイノベーション起こせ、って言われても無理な訳ですよ。他研究者とのコラボレーションもしたことがない、言われたことをしていたら成果も出て出世した、なんて状況だと特にそうです。企業も研究員が若いうちから「外部脳」とのコラボレーションをいかにするか、KPI* を設定して達成度をはかるなどのトレーニングが必要だと思います。すると研究を進める上で自分の想定を越える部分が出てきたり、自分側の能力の至らない部分が見えてきたり、新しいことを始めるときに考えるべきことや進め方などの「肌感」を、経験を通じて養うのです。オープンイノベーションの肌感を得るために研究費としては少額でやってみよう、というアプリケーションもリバネス研究費に広がってきたのです。当初、全く想定していないニーズですが、コラボレーションにはそんな価値もあるのです。

実際、申請書を見て僕ら自身が凄い刺激を受けています。これいいね、あれいいねと。この研究申請書ならどの企業と組んだら面白いだろう、とかも含めて。また、企業側が助成するのは「研究者を助けるため」ではないと思っています。本来、対等な関係のはずですよね。

杉山: ファンディングですよね。

高橋: そうです。「ファンディングを多様化しよう」のひとつの形です。特に若手は学振(コラボリー:日本学術振興会)や笹川(コラボリー:笹川科学研究助成)くらいしか申請できる研究費がない中で、「産業界とつながる」という新しい価値のファンディングなのです。研究予算の多様性、今までリーチできなかった人達にリーチできる研究費、そういうものを作っていきたい。

企業の人達もディスカッションを楽しみにしていますよ。二次審査で申請者にプレゼンしてもらうと、聞いている企業側がえらく勉強になっています。そういう「暖かいコミュニティ」を作っていくことが、プラットフォームを作っていくということなのです。

杉山: 研究者が若い頃から産業界とふれあって、研究室だけでは得られない産業側の肌感を得る一方で、企業研究者にとっても気付きがあると。

高橋: 気付きがある。凄い気付きがあるのです。むしろ、気づきを得たいという企業も最近増えています。あとはリクルーティングを考えている企業にも価値があります。研究職を採用するときに、「うちに就職したい人集まれ!」で集まってくる学生よりも、「こんな研究したい人集まれ!」で集まってくる学生に声をかける方がいい研究人材を採用できると思いませんか?母集団は小さく採用できる確率も低いのかもしれませんが、そこで知り合ったアクティブな研究者とは将来的にコラボレーションのチャンスも作れます。同じテーマを持っていて、しかもアクティブに手をあげて一緒にやろうっていう研究者集団とネットワークを作れることが価値ですね。

とにかく、若いうちに小さい金額で多様な研究の種を育てる。そして、申請や企業研究者とのコミュニケーションし、双方の若手が成長をする。結果として、外部との連携もしっかり出来る研究者達が育つ。それこそが産学連携だと思います。産学連携は、知財のやりとりだけではなく、本質的には人材交流・人材育成の枠組みだから、その原点を見直しましょう。そして、どんどん生まれる新しいアイデアや、人材というものに対して企業側がファンディングをしていく。出てきたものや知財にお金を張るというのではなくて、それを生む可能性のある人材にファンディングする、そういう視点が大切だと思います。


超異分野学会第4回超異分野学会
新しい研究や事業を開拓する、優秀なアカデミアの研究者、企業の研究所の若手、アントレプレナーが集う学会。アカデミア発の起業家講演やリバネス研究費により採択された研究者による成果発表ほか、様々なプログラムが用意されています。2015年3月7日(土曜)から 8日(日曜)に開催されます。当日のプログラム、お申込み・お問い合わせは 第4回超異分野学会 をチェック。

リバネス研究費に興味がある研究者、企業の産学連携・新規事業開発担当者は参加してみてはいかがでしょうか。

リバネス研究費* リバネス研究費
株式会社リバネスが様々なスポンサー企業と連携して実施する「自らの研究に熱い思いを持ったアクティブな若手研究者・大学院生」のための助成制度。
リバネス研究費(公式サイト)
コラボリー/Grants(研究助成)「リバネス」検索結果

** KPI(Key Performance Indicators)
重要業績評価指標。戦略・戦術目標の達成度合いを計るために鍵となる定量的指標のこと。ビジネスの現場では目標達成に向け各プロセスの進捗度や達成度合いを評価する KPI を事前に設定し、その KPI を測定することでプロジェクトの経過を評価することが多い。