日本学術振興会のホームページには、私と科研費 という長期連載エッセイのコーナーがあります。「科研費によって研究を進められてきた方々や現在研究を進められている方々の科研費に関する意見や期待などを掲載」するものですが、一線の研究者が若手だった頃の自分を振り返るエッセイもあり読み物としても人気があります。

毎月のリレーエッセイですが、昨年の12月は 「iPS細胞の基盤を支える研究」山中伸弥 教授京都大学iPS細胞研究所 所長/教授 の回でした。山中教授の研究資金についての考え方が触れられているので、サイエンスカフェでご紹介しておきます。

下記一部引用しておりますが、ぜひ全文をお読みください。

アメリカ留学から日本へと帰ってきた後、大阪市立大学で研究をしていた時に初めて頂いた科研費が奨励研究(A)でした。がん抑制遺伝子の候補として同定されていたNAT1という遺伝子の機能を調べる研究に使用しました。当時はマウスのES細胞(胚性幹細胞)を使って研究をしていましたが、「ネズミの研究をするよりも、ヒトの研究をするべきだ」と言われることもありました。こうした出口が見えにくい基礎研究は、周りの理解を得るのが難しく、とても苦労をした記憶があります。

科研費について様々な意見があるかと思いますが、最近では一部の研究種目が基金化されるなど、以前に比べると使い勝手がよくなってきていると認識しています。今後も時代のニーズに合わせた柔軟な運用で、日本の科学研究を支えていっていただきたいと思います。また、成果が見えにくい基礎的な研究に対しても十分な研究費が配分されるような仕組みが必要ではないかと思います。

iPS細胞研究所では一般の方からの寄付を募り、研究資金源の多様化を図っています。日本には寄付文化が充分に根ざしているとは言いがたく、欧米の様にうまくいかないケースもあるのですが、目的や結果が一般にも判りやすい研究の場合、こうした一般からの寄付なども有力な資金源となります。一方ですぐには結果が見えないような基礎的な研究はこうした資金の集め方をすることが困難です。

関連情報:
京都大学 iPS細胞研究所(CiRA)
iPS細胞研究基金
コラボリー/Grants(研究助成):iPS細胞に関する公募情報
コラボリー/Grants(研究助成):iPS細胞に関する採択実績